「場」という考え方とリーダーシップ

「共創型組織を作るためのチームハック」と題したセミナーに参加してきた。講師はHacks!シリーズの著者、小山龍介さん。人事担当者を主なターゲットとしたセミナーだったが、近著の「Idea Hacks! 2.0」で重要なキーワードとして用いられていた「与贈循環」についての著者の考えと、チーム作りについての話が聞けそうだったので参加してきた。

社会が大きく変化し、複雑化するとともに、その変化のスピードも加速化している中で、その変化に対応するために組織も変化してきた、という認識のもとに、現在は環境に対応して組織が変化する、というより環境も取り込んだ新しい組織のあり方として、自立分散共創型組織、というモデルを紹介いただいた。

そこで重要になるのが組織を構成するメンバーが、それぞれの強みを発揮して、生き生きと働き、組織が発展していくこと。
小山さんはそれを「場」という概念で表現する。
「場」は具体的にはチームかもしれないし、会社、コミュニティ、あるいはもっと広く捉えると業界かもしれない。
そこで活動している人たちが、そこにいる人たちを含む「場」に影響を与える。
「場」にプラスの貢献をすれば、「場」は豊かになり、「場」はそれに応えてそれを構成する人たちに贈与する。
この循環がうまく回れば、その「場」は活性化し、そこで活動する人々もさらに能力を伸ばし、活躍することができる。

ここで大切なことは、「場」への与贈は等価交換ではなく、短期的な見返りを求めるようなものではないこと。すぐに効果や見返りがある性質のものではないから、その「場」を本当によくしたい、変えていきたい、という本気の心構えや揺るがない信念がなければ、長期的に貢献していくことはできないこと。
「収奪から始めるのではなく、与贈からはじめる」というのはすごく分りやすかった。小山さんはそれを「サーバント・リーダーシップ」に例えた。
「リーダーが信念の下に、部下のために、チームのために費やす時間を増やすことが大事」と小山さんはおっしゃっていた。
小山さんも指摘していたが、こうしたことができるためには自分のことだけを考えているようでは当然だめで、もっと高い視座で物事を考え、会社に、世の中に貢献しよう、という思いがないといけないということ。

バタフライ・エフェクトのように小さなことでも、めぐりめぐって大きなインパクトになることがある。僕のやれることは小さいかもしれないが、自分が信じて行動すれば、何かが変わるかもしれない。自分のマネージャーとしてのあり方、そしてチームのために自分に何ができるのか、何をすべきなのか、考えるきっかけになるセミナーだった。

コーチング入門 -わかったようでわかっていない、そもそもコーチングって何だろう?

今までコーチングの本は何冊か読んできたけれど、「コーチング」ってなんだろう?と考えた時にぜんぜん本質を捉えられていないという思いがあり、あらためて入門書を読んでみよう、と思って手に取った一冊。
この本を読んであらためて考えてみたのは、何のために自分はコーチングを知りたい、と思ったか、ということ。
きっかけは、2年前に自分が部門のリーダーになったから。
メンバーがそれぞれ、会社から言われたから、上司に言われたからでなく、自らお客さまに対して質の高いサービスを提供したい、自分の能力を伸ばしたい、と意欲を持ってイキイキと働くようなチーム、職場をつくりたかったから。
そのために、具体的に自分は何ができるんだろう?と考えた時にコーチングとの出会いがあったのだと思う。

人が能力を自分で思っていた以上の能力を発揮できる、苦労をいとわず努力できるのは、自分で納得できる、腹落ちする目標がはっきりとあって、そのために自分が何をするべきなのか明確に理解できている時だと思う。コーチングは人が、あるいは自分が目標を発見したり、努力することを後押しすることなのかな、と思っている。
そのために必要なのはチームのメンバーともっとコミュニケーションを取ること。このチームで、この仕事を通して何を実現したいのか、折に触れて話せるような環境をつくること。そして日頃からいろんなことを話せるように信頼関係を構築すること。
きっとスキルやテクニックとして捉えるだけではだめで、相手を人として尊重し、信頼することの土台の上に成立するものなのだろうと思う。

さて、この本についてだが、非常に分かりやすい説明と事例を用いて、少ないページでコーチングの基礎と全体像が分かるようにまとめてある本だと思った。
特に「信」「認」「任」という3つの漢字でコーチングの本質を集約するのはすごく分かりやすいと思った。
この他にも分かりやすいフレームワークが紹介されていて、抽象的になりがちと感じてしまうコーチングのことが分かりやすくなっている。
印象に残った点について、書いてみる。

◆傾聴の5つのポイント「かきくけこ」
「か」環境を整える
「き」キャッチャーミットを準備しよう
「く」繰り返し、あいづち、うなずきを入れて
「け」結論を急がない
「こ」心をこめて

「キャッチャーミットを準備しよう」
相手の意見や提案してきたことに対して、間違いを指摘したり、既にやったけどダメだった、といって却下してしまうのはよくやりがちなこと。自分も経験があるが、提案するまでの努力や意見を表明した勇気に対して評価がないし、今後そうした前向きな提案や意見を出そうという意欲を挫いてしまう。
投げられた球をバットで打ち返すのでなく、「キャッチャーミットで受け止める」、そのための言葉を用意することの大切さを理解すること。

「結論を急がない」
これも自分がやりがちなこと。相手が話しているのに、先回りしてこうした方がいいんじゃない、と結論を出してしまう。でもそれでは相手が考えるチャンスを奪うし、自律的に考え、行動することができなくなってしまう。話しを最後まで聴き、答えは与えるのでなく、相手から引き出すもの。


◆GROWモデル
①目標の明確化(Goals)
行動変容に結び付く、適切な目標の設定。いつも意識に上り、目標達成のための行動を促す目標でなければならない。
目標の設定って、とても難しいと思う。自分でも毎年「今年の目標」を立てるけど、恥ずかしながらほとんどは実行できない。その中で学んだことは比較的、あまり無理のない、具体的な行動としてイメージしやすいもの、習慣化に馴染みやすいものは達成しやすい。それは会社で目標設定する時も同じことだろうと思う。
達成不可能な野心的すぎる目標は挫折するだけ。もちろんストレッチした目標を立てることは重要なことだが、「こんなのムリ」と思ってしまっては自信がなくなるし、自己評価が低くなるだけなので、そのへんは相手とよくよく話し合って、納得でき、すぐに行動に移せるような目標を作る、というのが大事だと思う。

②現状の把握(Reality)
今、どこにいるのか、現在の状況はどうなのか、自分だけの一方的な認識だけを押し付けるのではなく、相手とよく話して、現状を多方面から認識すること。お互い気づいていないことがあったりして、気づいていなかった好材料やリソースが見つかることもあるし、何が障害になっているのかも認識できると思う。

③資源の発見(Resource)
これって特に今の自分には重要なことだと思う。メンバーのことをよく知らなければ利用可能なリソースがよく分からない。メンバーが何が得意なのか、何が苦手なのか、よく掌握すること。また、今のチームは少人数だけに、自分たちで全部なんとかしようと思っても限界があるので、自分たちの中からだけでなく、外から得られるリソースが何なのか、どうしたら利用できるのかをよく考えないといけないと思う。

④選択肢の創造(Options)
これも自分がよくやりがちな失敗は「決め打ち」。自分がいつもやっているやり方ではうまく行かないことがある、と認識すること。メンバーに質問したりして、どんなやり方があり得るか、幅広く選択肢を創造すること。

⑤意思の確認、計画の策定(Will)
相手のモチベーションがどのくらいなのか確かめること。「やる」といってもなかなか行動に移せないことはよくあること。できるだけ具体的な行動を起こせるように、いつやるのか、いつまでにやるのか、明確にすること。
自分でもやると決めて、やれないことはよくある。どこまでコミットするのか、自分との対話の中で自分の本気度を問うと、自分が本気になっていないことに気づくこともままにしてある。
他の人との間でもそうなのだろう。できないとしたら何が障害になっているのか明らかにすることも必要だろうし、相手を本気にさせる、モチベーションを上げる言葉を使うことも重要なことと思う。


自分がコーチングに求めていたものは何なのかを考え直し、自分のかなり曖昧だったコーチングについての理解を整理するきっかけになるいい本だった。
明日からの行動にも結び付きそうだ。

コーチング入門 (日経文庫)

コーチング入門 (日経文庫)

3分間コーチ〜メンバーの「居場所」をつくるために僕ができること

コーチングの第一人者、伊藤守さんの著作。といってもコーチングの技術が書いてある本ではなく、生産的なチームを作るために、いかに部下のことを考え、部下とコミュニケーションする時間を確保することが重要かについて書かれた本。
当たり前のことのように思えるけれど、いかにそれができていないか、自分の普段の行動をちょっと振り返ってみるだけで分かる。
この本からの学びについて、書いてみる。


◆部下と話す時間を作る
◆部下について考える時間をとる
年に数回の目標面接、評価面接で部下と十分に話ができるわけはないし、リアルタイムで部下が抱えている問題や、課題に対処できるわけがない、というのは当然の話だと思うが、タイミングよくここぞという時に部下と話すためには、普段から部下のことを考えていなければならない、考える時間を意識的に取らなければダメだ、ということだと思う。
自分は多くの部下を抱えているわけではないから、部下のことを考える時間をとる、というのは比較的簡単なはずなのだが、それでも自分の仕事で目一杯になってしまうと周囲のことが見えなくなり、部下がどんな仕事をしているのか、どんなことを抱えているのか、考えることができなくなる。いや、そんな忙しくなくても育成、という観点から部下のことを考えてられているかというと甚だ怪しい。
「知らないことに気づくことが、次の行動へと人を動機付けます」
同じオフィスで働いているから、仕事でやり取りしているから、部下のことを知っている、わかっていると思うのは傲慢だろうな。日頃から面倒がらずに考える時間を持つこと。


◆上司のいう通りに部下が動くなら、上司はいらない
この言葉ってとてもショッキングだ。とかく犯してしまいがちな過ちは、自分が指示すれば、お願いすれば相手は自分の思った通りに動いてくれる、という思い込みだ。そして思った通りにならないと、それを相手のせいにして心の中で責めてしまう。でも、自分だって人から言われたこと、指示されたこと、全部やっているだろうか?やらなければならない、と思っていてできていないことも枚挙にいとまがない。
分かることと、実行に移すことの間に横たわる溝はかなり深い。
この溝に橋を架けることがコミュニケーションだという。
実行を妨げる要素:不安やスキル不足、優柔不断を解決するのがコミュニケーション。それだけの密度と質の高いコミュニケーションが必要ということ。


◆部下の態度は、上司の態度の反映である
これも相当にショッキングな言葉。相手の反応は、自分の鏡であるというが、まさに同じことだと思う。
普段から相手を大事にしている、相手の価値を認めている、信頼しているということを態度や行動で示していないと、相手も自分を信頼してくれないし、心を開いてくれない。
上司と部下の関係でも、普段の仕事やコミュニケーションで相互の信頼を築き、関係性を構築しないといけないということだと思う。
部下と約束したことは必ず実行すること。
部下の言葉にどんなに忙しくても真摯に耳を傾けること。
いつも話しやすい雰囲気、環境を作ること。「俺は忙しいんだ、話しかけるな」オーラを出さないこと。


◆そもそも部下は話さない
コミュニケーションを取ろうにも、部下が本音を話してくれない、というのはよくある話。
そもそも上司に話す、というのはとてもハードルが高いこと。
言っても聞いてもらえない、所詮何も変わらない、というあきらめや、本音をさらすリスクもあるだろう。
自分もかつての上司には同じことを感じていた。
「上司に要望を伝える、お願いする、弁明することは高さ10メートルの飛び込み台の上に立って飛び込めと言われているようなもの」
ああ、その通りだなと思った。
じゃあどうしたら話してもらえるようになるのだろう?飛び込み台からジャンプしてもらえるのだろう?

いきなり10メートルのジャンプ台からではなく、まず1メートル、3メートルといった低いジャンプ台から飛び込んでもらうこと。
練習が必要、ということだ。

これって普段から部下とコミュニケーションをし、関係性を作る、ということだと思う。
ファシリテーションのチェックインや、場作りと同じ。話しても、安全と思える環境を作ること。普段から部下のことを考え、コミュニケーションをし、信頼関係を築くこと。
この本ではそれを「居場所」「関わり」と表現している。
忘れないようにしたい。僕の一挙一動が場の雰囲気に影響すること。ぼくがコミュニケーションを疎かにしたり、ないがしろにしたりすれば関係性は簡単に壊れる。僕がネガティブな空気を出せば、それはチームに伝播する。メンバーが安心して自分の考えていることを話すことができ、お互い信頼して協力し合えるチームの風土を作れるかは、普段から僕がどれだけメンバーのことを考え、行動できるかにかかっているということ。


◆問いを共有する
「問いを共有する」ってどういうことだろう?と考えてみる。たとえば今の自分のチームだったら、どうだろう?どんな問いを共有できるだろう?

本当の意味で、お客様に選んでもらえるブローカーになるためには、何をしたらいいだろう?
お客様に感動してもらえるサービスってどんなことだろう?
自分たちの仕事のレベルをもう一段上げるために、何ができるだろう?
営業を面倒がらずに継続して、喜んでやれるようになるためには何をしたらいいんだろう?
仕事の効率性を上げ、リードタイムを短縮するために何ができるだろう?

こんな問いを、チームのみんなで共有できることだと思う。こういうことを普段から話し合い、メンバーのみんなの頭にあるような状態で仕事ができる、問いに応え、行動に移せる。前に進める。

「わかっているつもり・安定」にゆらぎを与え、「わからない・不安定」の状態にし、行動を促す「問い」の力を使う。
問いがメンバーの中で共有され、「安定」を突き崩し、メンバーが自律的に行動できる状態にを作ること。
継続的に問う「場」を作ることが必要だろうな。

この本を読んで自分のマネージャーぶりについてかなり考えさせられた。
自分がホントにまだまだ小さいな、と思うのは、まだまだ自分中心に物事を考えていること。忙しい、忙しいと言って周囲のことのに十分気を配れていない自分。目の前の仕事が忙しいことを言い訳にして組織の課題に取り組めていない、メンバーの問題に寄り添い、一緒に解決策を考え取り組むことができていないことを心の中で正当化している自分。とても恥ずかしいことだ。

チームのマネージャーとして、リーダーとしてメンバーのことを考え、メンバーの「居場所」を作ることの大切さに気づくきっかけを与えてくれたこの本に感謝したい。

ファシリテーター・クリニック 〜自ら手を挙げる勇気

土曜日は日本ファシリテーション協会(FAJ)東京支部の定例会に参加してきた。
今回のテーマは「ファシリテーター・クリニック」。グループごとに一人ずつファシリテーターを選んで話し合いを行い、ファシリテーター以外のメンバーが全員評価シートに従ってファシリテーターを評価するという内容。他のメンバーに容赦なくダメ出しされる。これってファシリテーターには結構過酷だ。

途中グループ分けを変えて2ラウンド話し合いを行ったが、非常に恥ずかしいことだが僕はファシリテーターに立候補する勇気を持てなかった。話し合いに参加して、もっともらしくファシリテーターの採点をしたのだが、しかし、やはりこんな安全な場所にいてファシリテーターを務めた方をわけ知り顔で評価する自分って、ダメだなと強く感じた。

参加者側でも、ファシリテーターを務めた方のファシリを観察して、気づくことは確かに多かった。

話し合いのプロセスが話し合いの質を有する。例えばチェックインや、問題(イシュー)の共有、ゴールの共有、といったことを省いたり、十分にできていないと必ずといっていいほど話し合いがうまくいかなくなる。

どんな風に話し合いを進めるのか、進め方、決め方のプロセスをメンバーと共有しないと、メンバーはどこに連れていかれるのか分からなくなり不安になる(ファシリテーター含め参加者それぞれが、プロセスについてこんな風に決めたい、進めたいという違うイメージを持っており、擦り合わせないとかみ合わなくなる)。

ファシリテーターがこうしよう、こんな風に進めよう、と強引に進めようとすると、メンバーの納得性が得られなくなる。

いわば議論の前提や議論の進め方について共通認識がないと、かみ合わなくなるということだと思う。これって当たり前のことなのに、自分の思っていることは人もそう思っているだろう、と思い込んでしまう、陥りがちな罠だと思った。

こうした学びはあったが、やはりファシリテーターを実際に務めることが一番学びになることは間違いない。正直、自分から手を挙げてファシリテーターを務められた方は本当に勇気があるし、偉いと思う。
弱気になった自分について多いに反省。次にこのような機会があったら迷わずにファシリテーターをやると手を挙げることをここに誓う。

FAJ:特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会

ハーバードの人生を変える授業

この本はちょっと前に話題になっていた本で、例によって買ったはいいがパラパラと目を通しただけで、真剣に読むこともなく積ん読になってしまっていた。今回、ようやくちゃんと向き合おうという気になった。
ポジティブ心理学」の研究者である著者が、人生をよりよく生き、幸せになるためのアドバイスを52紹介してくれる。
とても平易な言葉で書かれていて、文体内容的にもも押し付けがましくなく、素直にそうだな、と思えるようなことばかり。
だけど、実行に移そうと思ったら、そんなに簡単ではない。習慣として自分の生活に無理なく取り入れられるようにと、実践するための具体的なワークもついている。リフラクション(reflAction)というらしいが、行動に移すことで、理解する手法ということだ。

仕事が忙しくなって、その日その日をしのぐことで精いっぱいな感じになってしまい、本を読む習慣もいつのまにか消えそうになっていた時に、この本にあらためて出会うことができたことは、ラッキーだったかもしれない。今の自分を見つめ直すチャンスをもらえたような気がする。


◆失敗から学ぶ
「あきらめずに立ち向かうことは、勝ち負けや、失敗か成功かという結果よりも、自尊心にとって、長期的にいい結果をもたらすのです。」
失敗を恐れ、挑戦することを避けていては、困難に対処する自信を養うことができず、自尊心を高めることができない、ということ。
本当にそうだな、と思う。

自分の能力で対処できなそうなことにぶつかると、逃げたくなる。
仕事をしていると困難なことにばかりぶつかるが、できないことに言い訳をしている自分がいる。
うまくいかなくても、失敗してもいいから、やはりもう一度挑戦してみよう、と思える自分になれそうな気がした。


◆安全圏から出る
行動することによって、自分に対する考え方を変えることができる。
考え方を変えてから、行動するのではなく、できない、と思っていたことをあえてやることが、自分自身についての認識を変える
確かに、いつかやろう思っていることはいつまでたっても実行できない。

誰かを誘って遊びに行くこと。
行きたかったライブに行くこと。
旅行に行くこと。
中国語を、もう少し真剣に勉強すること。
英語をブラッシュアップすること。
ファシリテーションを学ぶこと。

時間がない、できない、と思い込む前にちょっと行動に移してみよう。


◆約束を果たす
自分への約束を果たせない。そのたびに自己信頼感が低くなってしまう。
早起きするとか、仕事で、その日にやると決めたことを先延ばししない、とか。
自分でやる、と決めたことも安易にあきらめてしまう自分を見直して、全部は無理でも、少しずつでもできるようにしてみよう。


◆解釈を変える
「人は出来事そのものに対して反応するというより、その出来事への自分の解釈に反応する」
これって本当にその通りだと思う。
人間は、事実をありのままに見るのではなく、そこに解釈を加えて理解する。同じ事実を見ても、人によって反応が違うのはそのため。
これって、NLPの話と同じだなと思った。
人は解釈を通してしか事実を認識できない。解釈は人が経験を通して培ってきた価値観に基づくもので、解釈に反応している。
解釈が歪んでいたり、一面的だったりすると落ち込まなくていいところで落ち込んでしまうかもしれないし、物事のいいところを見つけられないかもしれない。
コップに半分残る水を見て、まだ半分もあると思うか、もう半分しかないと思うか、の違いのように。
PRP法というフレームが紹介してある。
Permission(許す)
Reconstruction(再構築する)
Perspective(より広い視野から見る)
今の状況を一歩引いて、広い視野で物事を見ることで、もっとポジティブに、違う意味で捉えられるかもしれない。


◆バランスをとる
「したいことをすべてしようとするのではなく、大切な5つの分野の中で、どの程度の活動が「ちょうどいい」かを考え」ること。
完璧主義になって、すべてを完璧にやろうとしないこと。
確かに、全部をやろうとして結局何もできない、ということはよくある。
大切なことは一つだけではないし、全部を完璧にすることはできないことを認めること。
現実にできる最善のことをし続けることが、持続的にものごとをやり続けることができ、充実感にもつながる、ということなのだろう。

もっとたくさんのことが紹介されているのだが、また気づきがあったら書いてみようと思う。一度にたくさんのことはできないので、少しずつ、生活に取り入れていこう。

とてもいい本に会えた幸運に感謝。

ハーバードの人生を変える授業

ハーバードの人生を変える授業

ワークショップでファシリテーションを学ぶ ー体験から学ぶことの意味ー

昨日は日本ファシリテーション協会(FAJ)東京支部の定例会に参加した。
今回参加したセッションのテーマは「体験から学ぶファシリテーションの基礎」。

タイトル通り、座学で学ぶのでなく、ワークショップ形式で、体験を通してファシリテーションの基本を学習するプログラムだった。
簡単にいうと、まずグループごとにいきなりほとんど予備知識を与えられることなく、お題について話し合い、その後話し合いを振り返って、どうすればもっといい話し合いができたのかグループで考え、学ぶというスタイル。

1. グループワークで何の予備知識もなしにお題について話し合う。
初対面のメンバー同士ということもあり、ギクシャクもするし、インスラクションはほとんどないのでどういう段取りで話し合いを進めるべきか、どうやって決めるべきか迷うので、スムーズにはいかない。

2.ひととおり話し合いが終わったあと、
①自分たちが何をしたのか
②その時、何を感じたのか
③どうすればもっとうまくできたか

を振り返る。

・初対面でお互いを知るためにアイスブレイクとして自己紹介をしておけば良かった
ポストイットに書き出した意見を分類したが、その分類の意味付をきちんともっと考えるべきだった(抜けもれ、ダブりが発見できない)
・決めるための基準、軸が定まっていなかった(決めるに当たって本当に大事なことは何か、外せないことは何か?共有しておく必要があった
・そもそも何を話し合っているのか、話が脱線しないような工夫があれば良かった(お題を大きく模造紙に書いておくとか)

自分の参加したグループでは比較的話し合いがスムーズだったせいか対立や葛藤があった場合についてあまり考えることができなかったが、対立があった時になぜ合意できないのかについて、
・意見を分解、深堀りしてどの部分で一致できていないのかを明確にすることの必要性
・前提条件の違い、同じ言葉を使っていても、言葉の定義が個人によって異なることがある
といった気付きや、参加者が本音を出せていないことにに対して何かしら手当をする必要があるといった大事な気付きも他のチームから出されていた。

ちょっと自分たちのチームはある意味話し合いがスムーズすぎて、良い意味ではコミュニケーション能力が高かったのかもしれないが、もしかしたらみんな本音を隠して「いい子」過ぎたかもしれないなと思ったりもした。

自分のグループの中に韓国出身の方がいて、「日本人はやはり遠慮しすぎて、自分の意見を言わない。もちろん文化としてそれが美徳なのは分かっているがそれにしても意見を言わないので何を考えているのか分からないことがある」ということを言っておられた。
これはやはり日本人でない方に言われるととても説得力があると思った。

自分も同調圧力に弱い方だと思うし、自分の意見をはっきり言えないことが多い。
話し合いの中で参加者が本当の気持ちを出せないとしたら、そこで決まったことに納得感が出るはずもないし、決まったことはうまくいかないだろう。
特に日本人の場合その場の安全を確保するために場作りの工夫はとても重要とあらためて再確認した。

今回学んだことはファシリテーションの基礎、基本のキのようなものだと思うが、ワークショップ形式でワークを通じて体感して学ぶことができたので、かなり強い印象として残ったように思う。本を読んだだけではおそらくこのような学びにはならない。ワークショップのもつ威力を感じられたセッションでもあった。

「議論を書く」ことの力 〜FAJ 支部イベントに参加して〜

昨日は日本ファシリテーション協会(FAJ)東京支部のイベント「ファシリテーションエスト【序章】〜冒険の扉を開こう」のお手伝いをさせていただきました。

https://www.faj.or.jp/modules/contents/index.php?content_id=2348

しかし不注意で忘れ物をした上に、会場のアクセスをきちんと調べなかったばかりに、りんかい線を使って東京テレポート駅に行ったら会場は東京テレポート駅からは徒歩18分という距離で(ゆりかもめテレコムセンター」が会場の最寄駅)・・・不注意が重なり、大変情けないことに、お手伝いどころか大遅刻をして皆さんに迷惑をかける結果になってしまいました・・・運営の皆様、本当に申し訳ありませんでした。

お手伝い、といっても会場設営や必要な備品の配布、参加者の誘導といった簡単なものですが、250人以上の方が参加された大きなイベントに関わらせていていただいたことは、イベントを主催する側に立つ、ということで参加者の皆さんへの対応、接し方という点でとても勉強になりました。またセッションも参加者としてではなく、スタッフとしてワークを客観的に見ることで、ファシリテーターの加留部さんの話や動き、それに対する参加者の反応を客観的に見ることができて、その「場」をつくるファシリテーターの影響の大きさについて大きな学びがありました。

さらに、午前、午後と同じプログラムだったこともあり、加留部さんのご好意で午後はワークに参加させてもらって、スタッフとして、さらに参加者として二つの立場で楽しむという贅沢な経験ができました。

加留部さん、FAJ運営の方々、参加者の皆様に心から御礼申し上げます。
特にこれだけ大きな規模のイベントを成功させるFAJ運営スタッフの方々の企画力、そして練りに練り、細かいところまで行き届いた運営には感動を覚えました。本当に皆さん、お疲れさまでした。もしこの文章を読むスタッフの方がおられましたら、心から感謝を伝えたいと思います。

私がお手伝いをさせていただいた(参加もした)セッションである「議論の迷宮」(議論の構造かについてのセッション)での学びを記しておきたいと思います。


1. ヒトの多様性・同じ言葉でもこんなに違う
「流れ星」というワーク。同じ言葉からでも、受け取り方は非常に多様であり、受け止め方が違うことを体感するワーク。同じ言葉を使っていても、解釈はまったく人によって違っているかもしれない。目に見えないお互いの理解をいかに確認し、議論の前提を合わせていくかがいかに大切か、ということを感じる。
言葉というのはとても曖昧なものだ。特に抽象的な言葉は、同じ言葉を使っていてもその定義が人によってぜんぜん違っていたりする。さらに人の記憶は曖昧なもので、話し言葉は話した途端に消えていくし、数分前に相手が話していたことでさえ正確に記憶することはできない。
このセッションでは理解や議論の前提を共有するために、話し合っていることを確認するために議論の可視化、「書く」ことの重要性を学んだ。


2. 書くことの効用・書いただけでもスゴいことが起こる
最初は書くことなしに言葉だけで話し合い、その後は付箋紙にそれぞれの意見を書き込み、模造紙に貼りながら話し合うことを試した。
言葉だけではどうしても話があっちこっちに行き来し、さらに雑談になったり話がそれたりしがちで、どこへ向かうのか、ファシリテーターがいない中では方向性がない話し合いになってしまったが、付箋紙と模造紙を使うことで、今何の話をしているのかがはっきりとわかるようになり、議論の脱線がなくなるという効用がはっきりと感じられた。さらに、議論の道筋が分りやすくなり、特別にファシリテーターを置かなくとも自然に意見の整理をしたり分類したうえでその意味合いを考えることができた。書くことの効果はやはり絶大だ。
書くことの効果として「安心感」ということがあり、話し合いだけだと聴き流されてしまいがちなところを、書いてもらえることで受け取ってもらっている、参加している、という安心感が得られるということも学んだ。

その後、板書リレー、というワークを行った。一つの議題についてグループごとに話し合いながら、板書の書き手を一定時間で交代して務めた。書きながら、話し合いにも参加するのは大変と思ったが、今回は聴きながら、発言について言葉の選択について確認したり、質問したりする余裕が少しはあったように思う。
今回のグループワークでは整理の段階でのグルーピングの切り分け方が十分ではなく曖昧だったため(ダブりが多くMECEになっていなかった)うまく意見を引き出せない部分もあったが、それに気付けたのも「書いた」から。
また、全員「書く」立場を経験したことで、その後の議論にも影響したと思う。

セッションの内容だけでなく、ファシリテーターを務められた加留部さんの語り口、場を作る力量はホントに素晴らしかった。その豊富な経験から、分りやすい事例を引いたり、ホワイトボードを巧みに使って受講者の注意を引く手法もなるほどと思った。PowerPointはあえて使わない、というのも、ホワイトボードをこれだけ縦横無尽に使い尽くせるからのこと。
また、その場の雰囲気、空気を計算してしゃべりを変えるテクニックに気付くことができたのも、午前、午後と同じ内容を2回経験できたから分る、とても贅沢な経験からの気付きがあった。

最近ずいぶん仕事でホワイトボードを使っていなかったが(ミーティングすら最近できていなかった)、ホワイトボードの効用にあらためて気付き、また使ってみよう、思うことができた一日でもあった。