「学ぶ気になれば、何からでも学べる」〜教育研修ファシリテーター

先日、ファシリテーション基礎講座を受講して、気持ちが高まっている時に、あらためてファシリテーションの本を読んでみたい、と思って手に取ったこの本。

この本は企業や自治体、NPO等で組織開発・人材開発のための研修を行う方を主なターゲットにしているのだが、もちろん、そうでない人が読んでも大きな学びが得られる。
思い起こせばかつて自分も何度か「研修講師」らしきものを務めたことがあったが、この本を読みあらためて自分の講師ぶりを振り返ると、一方的にコンテンツを話すだけで(しかも台本に沿って話すだけで、臨機応変に対応する余裕もなく・・・)受講者に取っては面白くも何ともない、典型的な学びを得られない研修の主催者だったな・・・と反省しきり。
わざわざ現場を離れて集まるのだからからそこでなければできない経験をし、学びを持って帰れなければ意味のない研修になってしまう、というのは本当にその通りだと思う。ここで紹介されているワークショップの手法や、ファシリテーターの務めるべき役割については本当に勉強になる。

こうした研修におけるプログラムの組み方やファシリテーターとしての方法論は本当に勉強になるのだが、今回この本を読んで自分にとって特に印象に残ったのは、最後の「さらなる高みを目指して進化しよう!」という章だった。ファシリテーターとして感性を磨き、マインドを磨くことの大切さについてとても丁寧に書いてある。これはファシリテーターとして、という以前に、人として、ビジネスパーソンとしてもとても重要なことではなかろうか。自分自身を見つめ直し、高いレベルを求めるためにどんな心構えが必要か、日ごろから何を心がけるべきなのか、大きなヒントになる。

ファシリテーターとしての感性を磨くー自分自身を客観視する
ファシリテーターとして、ということだけでなく、会議で話している自分、チームのメンバーに話している自分、顧客に説明している自分・・・すべて同じだと思う。話している自分、相手に対して何かをしようとしている自分に没入してしまいうと、独りよがりになってしまったり、コミュニケーションが成立しなくなってしまったりする。
コミュニケーションにおいて、相手の反応、サインを見逃さないこと。相手の気持ちについて想像力を持つこと。
どうしたら相手は心のハードルを下げることができるのか、気持ちよく話をすることができるのか・・・自分の態度や、声のトーン、目線、身振り手振りも影響してくると思う。その場における自分自身を、冷徹な目で見られる自分がいなければいけないと思う。

◆あり方を支えるマインドを磨く
ファシリテーターとして大切なのは「あり方」としてのマインド。
ファシリテーターとしてだけではなく、少しでも高みを目指そうとするならば、「振り返り」の大切さは本当に強調しても強調しきれないほどではないだろうか。
日頃自分の言動や行いをきちんと振り返る機会は少ない。これまでいろんな場で学んだはずのことを忘れてしまっている自分がいる。せっかくいい経験をしたのに、その後に活かせないこともたくさんある。
それはきちんと自分の行いや経験についてきちんと振り返りをすることを怠ってしまうからだと思う。
素直な気持ちで振り返り、考えを深めることがマインドを磨き、行動変容を促すのだと思う。
ファシリテーターにとって、参加者が鏡であるように、日常の生活やコミュニケーションでも、自分と関わる人たちは鏡なのだと思う。

◆「学ぶ気になれば、何からでも学べる」
NHKの教育番組や科学情報番組などはファシリテーターの学びの格好の素材となります。トーク番組の司会者の立ち振る舞いにもいろんなヒントが隠されています。学ぶ気になれば何からでも学べるのです。」
この本を読んで一番印象に残ったのはこの一節。
僕はつくづく周囲から学ぼうとする姿勢が足りなかったと痛感する。
何気ないような日常の出来事からでも、学ぶ姿勢さえあればどんなことからでも学べる。
話が上手な人、場を盛り上げるのがうまい人から学べるし、会議の場でどんな質問をしたらいいか、さらには飲み会でどう場を盛り上げたらいいか、も学びになる。
筆者はあとがきでファシリテーターとしての現在の自身を形作った要素や学びの源泉として自身の転校生としての経験、三人兄弟の真ん中と言うポジション、放送部、演劇の経験を挙げている。自分に引き寄せて考えてみると、僕だったら合唱からの学びが、ファシリテーション、ひいてはビジネスににつながることもあると思う。
例えば、声。 自分の体を使って声をコントロールするのが発声だとしたら、仕事に話すときにも意識的にいい声を出すことができるはず。明るいエネルギーに満ちた声、その場を活性化するような声も出せるようになるはず。
声のトーンや話し方がファシリテーションの場の雰囲気やあり方、そしてビジネスでは職場の雰囲気、顧客への印象にも影響する。
声の大切さを僕はもっと学んでしかるべきだと思う。
ファシリテーションの本というより、学びの姿勢についての本として自分は読んでしまったが、何とも気づきの多い一冊となった。

教育研修ファシリテーター

教育研修ファシリテーター

自分の心のグローバル化と向き合う-Samoan Circleの効果

日本ファシリテーション協会東京支部の定例会に参加した。
今回のお題は「グローバルな生き方ってなんだろう?」。一応海外とやり取りする仕事をしていながら、自分のグローバル度について考えるとお寒い状況で、マインドセットもいまなお殻を破れないまま。
ファシリテーションで「グローバルな生き方を考える」ってどういうことなんだろう?今の自分の心に響くものはあるのだろうか ?ワクワク半分、自分の現実に直面することの不安が半分、という気持ちで参加した。

参加してみて、大きな気づきが得られたと思う。
今回の定例会はFAJの中のプロジェクト・GFIT(Global Facilitation Initiative Team)の方々が企画されたものということ。このプロジェクトは海外に発信したり、海外のファシリテーション団体とやり取りや会合への参加をされているようだ。
ファシリテーションの国際団体(らしい)IAFのイベントが昨年インドで開催され、日本からはGFITの皆さんが参加したとのことで、報告をいただいた。
2009年当時、IAFのアジア支部の大会を日本で開催してほしい、とオファーを受けながら、Yesと言えなかった当時、その一方で国内のファシリテーション協会が未成熟にもかかわらず、迷いもなくYesと応え、1年間の準備期間で実際に大会を成功させた韓国との落差についてのお話もいただいた。これはグローバル・マインドの問題なのか、気概の問題なのか・・・原因が何であれ、隣の国に先を越された何とも言えない敗北感・・・この話しはとても心に響いた。
グローバル化ということは感じながら、自分は確実に変化する社会、世界の中で何をしているのだろう、行動を変える努力などできているのだろうか?と思うと甚だ心許なくなる。
自分の心の中のグローバル化と向き合う一日となった。

いろいろなアクティビティを行ったが、そのなかで、特に印象に残ったのが、このセッションのメインディッシュ:インドで行われたIAFのアジア支部の大会で実践されていたという「サモアン・サークル」(Samoan Circle)というメソッドだ。

http://www.kstoolkit.org/Samoan+Circle

・対立する議題について、対立軸を設定し、それぞれの支持する立場に分かれ、立場を代表する人が一人ずつ出て、実際にディベートする。
・その他の人は、ディベートする人たちを取り囲んでサークルを作る。
・外のサークルにいる人たちは発言することができないが、話したい時はサークルの中に入ってディベートしている人といつでも交代し、ディベートに参加することができる。
・参加者は途中でいつでもその立場を変えてかまわない。

今回はグローバル化にあたって大切なのは心(マインドセットの変革)、技(語学力の向上)、体(国際交流促進、アクション)の3つのうちどれが大切か、というテーマでそれぞれの立場に分かれ、サモアン・サークルを実践した。

これのどこが面白いか、というと、外のサークルにいると議論を客観視できることだ。
ディベートをしているとつい熱くなって自分の立場に固執してしまいがちだし、ときには自分を守り、正当化するためのロジックを無理矢理作ってしまいがちだが、外のサークルにいると自分の立場にこだわらず、他の立場の意見も聞くことができ、素直にもっともだなと、立場を異にする人の意見に耳をすますことができる。
視野が広がり、違う角度から問題を見ることができ、自分が見逃していた視点に気づくことができる。
自由に立場、位置を変えることができることから、対立する立場である「向こう側」に実際に異動してディスカッションを聞くことができる。この「位置を変える」というのが自分の態度にも大きく影響することがよく分かる。

僕は大切なのは絶対に「心」だろう、と思っていた。それがこのアクティビティに参加しているうちに自然に「体」も大事だろ、と思うようになり、立場を移動。自分に足りないのはまさに「体」、アクションかなと思えるようになった。アクションを起こすことが心を鍛え、心を育てる、技にも磨きをかけるきっかけになる、ということがある。

自分が何にこだわっているのかがよく分かり、素直になり自分の心にも変容が起こる。何ともパワフルで効果的なアクティビティだと思った。

懇親会でもいろいろな方とお話ができた。この瞬間がとても大好きだ。普段の仕事では会えない方と話すことができ、視野が広がる。ファシリテーションに対する問題意識を共有できる。

何だかんだアタマばかりで考える割には行動が足りない自分と向き合い、なにか実際に行動に移してみよう、と思える自分がいた。
GFITの活動も、もし何か自分にできることがあれば関わってみようか、と思った。

自分の心の中のグローバル化に素直に向き合い、新たな心構えを築くきっかけになる素晴らしい機会になった。GFITの皆さん、参加者の皆さん、ありがとうございました!!

「ファシリテーション基礎講座」に参加して〜一度に多くはムリでも、一つずつできるように

日本ファシリテーション協会の「ファシリテーション基礎講座」に参加してきました。
朝の10時から夕方の6時半まで、ランチタイムの1時間を差し引いても7時間半のボリュームたっぷりの研修。でもグループワークを繰り返しているうちにあっという間に時間は過ぎ、疲れを感じる間もなく研修は終わりました。一緒に受講したとても意識の高い受講生の皆さんに助けられ、とても大きな学びがありました。

学びをここに記しておきたいと思います。

ファシリテーターは意思決定のプロセスに働きかけるープロセスがゼロなら成果もゼロ
意思決定の質はコンテンツ×プロセスで決まるが、どうしてもコンテンツにばかり関心が行きがちで、プロセスがないがしろにされがち。
自分の経験でも思い返せば、声が大きい人の意見ばかりが通る会議、意見や考えを否定する言動を放置する会議、目的がはっきりしない会議・・・終わってみてもたいした成果が得られなかったり、参加者の不満ばかりが残って、決まったけれど誰もそれを実行しない会議など、枚挙に暇がない。
コンテンツとプロセスは車の両輪であり、プロセスに介入してその場にいるものがみんな納得のできる意思決定を実現することがファシリテーターの役割と再認識した。

◆日々の暮らしはファシリテーションの訓練の場
「日常のちょっとしたことの中にファシリテーションを活用できる場面がある」
講師の方がおっしゃっていたこの言葉は特に印象に残った。
「今日はランチどこに行こうか?」
「飲み会どこに行こう」
こうしたちょっとした意思決定や、友達との何気ない会話、会議というレベルでなくても会社の同僚との仕事の話し合いでも、コミュニケーションをするうえで質問の仕方や相手の意見の引き出し方、言葉の選び方、相手の感情のコントロールや関係性の促進、という点で考える点やファシリテーションを活かせる場面があり、訓練になる、というのはほんとうにそうだなと思った。


◆傾聴、質問ー伝えたいのは言葉だけじゃない
傾聴ということはファシリテーションコーチングの本で何度も読んだことだけど、あらためて「傾聴」を試すグループワークで実践してみると、相手の話を追うことだけで精一杯でどんな質問をしようとか考えるゆとりなどない自分を発見。相手の言葉の言語外のメッセージを読み取ることや、自分の動き(視線、あいづち)に注意するというのも意識から吹き飛んでしまう。
これも意識して何度も実践するしかないのかなと思った。
訓練すればもっと余裕が出て聴いている自分を客観視したり、相手の言葉だけでなく動きや、言葉の背景にあるコンテキストを読み取ることができるのだろうか。


◆柔らかい主張ーファシリテーターだって主張する
話し合いを方向付ける(交通整理)ための言葉遣い。
ファシリテーターは何かを決めたりするのでなく、あくまで決めるのは参加者、ということから自分の意見を言えないとおもってしまいがちだが、やはり議論がおかしな方向に行ったり、視点がずれたり抜け落ちたりした時にはこちらから呼び水を投げかけることも必要。
ただし、押し付けたり相手を否定するような言動は当然NG。「柔らかく」主張する。
・質問を使う
・オープン・クエスチョンを使う
・不完全な質問にする
・「私たち」を主語にする
・人ではなくないように焦点を当てる

ファシリテーターが議論に介入するにあたって、相手を否定したり、強い言葉になってしまうのはアウト。信頼を損ねたらファシリテーターは務められない。肝に銘じておきたい。


◆議論の構造化ー「対話を描く」フレームワーク思考をフル稼働
フレームワークやロジックツリーはグロービスやいろんな本で勉強したけれど、使いこなせないなと思う分野の一つ。
最近仕事でも使っていない・・・
あらためてフレームワークは学び直したいし、仕事でもあらためて活用するシーンを模索したい。
「対話を描く」グループワークは、いいトレーニングになったと思う。
「マンダラ型」のまとめ方は試してみたが自由度が高くて使いやすいと思った。実際ミーティングでも使ってみたい。


◆「議論を書く」意味ー書くことは思った以上の効果がある
書くことによって
・ポイントが分かりやすくなる
・自分の意見が伝わったと確認ができる(「リピートおばちゃん」の例)
・発言と発言者が切り離され客観性が高まる(声が大きい人でも板書されると自分の意見を客観視できる)
・ビジュアル化することで思考、発想が刺激される
ファシリテーター自身が議論を書く意味は、自分自身が発言者に発言の意味を確認したり、議論の流れに介入、コントロールできるから。書きながらファシリテートするのは大変・・・と思っていたが言われてみればその通りで、確かに合理的なことだと納得。


◆納得感のある合意形成ーWin-Winを目指そう:意外なところに共存のヒントが
表層的な言葉だけでなく、言葉の背後、本当の目的を明らかにすることによって、対立しているように見えたのがWin-Winの合意形成ができることがある(焼き鳥チェーンの事例、オレンジ理論)。
そのためにも、背後にあるものをどれだけファシリテーションによって引き出せるかが重要になると思った。
また、「決め方を決める」というのも忘れがちなファクター。多数決だけが決め方ではない。


◆実際にファシリテーターを務めてみて・・・少しは成長?
実際に、自分の前にファシリテーターを務められた受講者の方へのフィードバックのセッションにあたってファシリテーターを務めさせてもらった。
前回参加した「はじめのい〜っぽ」の経験と反省から、自分の立ち位置、書きながらでも相手に背を向けっぱなしにならない、とか、座っているメンバーとの視点の位置合わせ、言葉のトーン、意見の要約などは意識しながらできたような気がする。
ただ、やはり書くことと聴くこと、議論を進めることすべてに同時に神経を行き渡らせることはやはり難しい。
・もっと意見を発散できるように考えを促すような言葉をかける
ファシリテーショングラフィックをもっとうまくできるように・・・焦らずにきれいに書く、構造化を意識して書けるようにする
・オープンクエスチョン/クローズドクエスチョンをうまく使って考えさせる、意見を引き出す
こうしたことをもっとうまくできるように、練習を重ねたい。


◆まとめ
今回の講座でも簡単な題材でファシリテーターを務めさせてもらったが、前回の「はじめのい〜っぽ」の時の経験から、自分の課題を意識してできたのがよかった。
一度にすべてのことを完璧にできなくても、次の機会は「これを試してみよう」とチャレンジを重ねれば、少しずつだったらうまくなれそうな、そんな感触を持てたのは大きな収穫でした。
そのために、「振り返り」は本当に大事。ブログやFacebookを振り返りの場にしていきたいと思います。
次の課題は下記の2つとします
・質問をうまく使って意見を引き出す
・ファシリをしながらでも思考を止めず構造化を意識して書く

懇親会もとても盛り上がり、いろんな人と知り合いになれました。
とても充実した1日になりました!!また少しでも進歩できるように学びと実践を続けていきたいと思います。

だから、僕らはこの働き方を選んだー世の中を豊かにするためにできること

何だかとても話題になっているみたいだから、気になって手に取った本。

自分たちのやりたいことを実現するために仲間とともに彼らは東京R不動産を作った。
店舗は持たない。自分たちが「これは!!」と思った物件だけを紹介する。いいところだけを強調するのではなく、不便なところやデメリットもきちんと公平に伝える。
彼らは自らのビジネスを「不動産のセレクトショップ」と呼ぶが、そんなおおよそ普通の不動産会社らしくない東京R不動産は、彼らの不動産に対するこだわりと、理想の働き方を追求した結果生まれた。

彼らが理想とする働き方として大事にしていることは次の4つのこと。

・やりたい仕事をすること
・ちゃんとお金を稼ぐこと
・社会を豊かにすること
・楽しい仲間と働くこと

たった4つ、しかもとてもシンプルなこと。
だけど、この4つをすべて実現することはとても難しい。自分の仕事を考えるとこのうち1つか2つくらいしかYesと言えない。

著者たちのスゴいところは、いくつかはできなくても仕方がない、と簡単に諦めなかったことだと思う。
自分の理想とする働き方を目指して、考え抜き、行動に移し、試行錯誤を繰り返した結果行き着いたのが今の働き方なのだろう。

彼らの選んだ道を、彼らが特別だったから、彼らが一筋縄では行かない変わり者だったから、と片付けてしまうのは簡単だ。でも、そうじゃない。
彼らの働き方には、人がどうやったらもっとHappyに働き、自分の能力を活かしきることができるのか、そして社会に価値を提供し、もっと豊かな社会を作るために貢献できるのか、そのヒントがあると思う。
彼らが大事にしている軸の一つに「楽しく」というのがある。どうせ仕事をするなら楽しい方がいい。
「楽しく」仕事をする、そのシンプルなことにはと働く個人の幸せという文脈だけでは終わらない、もっと需要な要素があると思う。
楽しくやれるからこそ、自然にもっとうまくやるにはどうしたらいいかを考えることができる。
誰から言われるのでなく、サービス向上、進化が進む。
やっている人が楽しんでいる仕事の方が、そのサービスを受ける方だって質の高いサービスを受けることができるはず。
楽しく働ける仲間が集い、一人では生まれないアイデアが生まれる。
楽し働ける仲間と切磋琢磨し、自分も成長し、仲間も成長する。もっと大きなことができるようになる。
「仕事ってこんなもの」と諦めてしまう前に、どうやったら仕事が楽しくなるだろう、と考える余地はきっとあるはずだと思う。


■モチベーションの源
「おもしろさ」と「納得感」
「おもしろさ」とは自分が好きなものを見つけ、それを好きな人に伝えて喜んでもらうこと。
「納得感」は自由とフェアネスがあること。理不尽なことがない。
これは自分が好きでやりたいことを自分の責任で自由にやる環境がある、ということだろう。
おもしろいアイデアを思いついても、リスクが高いとか、理解されないためにやらせてもらえないとしたら、誰だってモチベーションが下がるだろう。
「おもしろさ」「納得感」を軸に自由にやれることを保証されているから、彼らはモチベーションが下がることもなく常にいい仕事をしようと思うことができる。

■「個人と会社の利害が完全に一致している」
フリーエージェント制をとっている東京R不動産では、成果を出せなければ報酬がゼロになるかもしれないので、皆成果を出すために必死だ。
自分たちが何をすることで成果を出せるのか、自分たちが協同することでどう社会に対して価値を提供してくのか、いつも考えているから会社と個人が別の方向に向くことがないのだと思う。
「やるだけ損」「やっても報われない」と思う人もいない
会社にしがみつく人もいない。
自律的に考え、動くことのできる個人の集団だからこそこうした仕組みがうまく回り、機能する。


■フツウのものを楽しくする
築年次、広さ、駅からの距離・・・といった画一的なデータでしか表現できなかった不動産の業界に彼らは風穴を空けようとしている。
不動産の定性的な魅力を前面に出し、ここは魅力的!!というものを押し出し、特に不動産にこだわりのある顧客が自分のイメージやセンスにあった物件を見つけることを手助けすることに重きを置いている。
「フツウのものを楽しくする」こうした姿勢が彼らのビジネスを魅力的なものにしている。これはとても自分の働く保険業界にも適用可能なように思える。
保険を買うというのはそんな胸が躍るような楽しいものではない。
必要なものであるから仕方なく買う、というイメージ。でも保険を買うことでいろんなことを考えるきっかけになるような気がする。
自分の会社のビジネス、事業にあるリスクを見直し、どんな施策を施すべきか、保険でカバーすべきはどこか、きちんと考えることはやりようによってはクライアントにとってもいい経験になるはず。
それを面倒なもの、気が重いものではなく、ものすごく意義深いものとして感じる体験は何かあるような気がする。
自分は再保険という仕事に初めて関わったとき何だかその未知なるもの、アカデミックな響きがとてつもなく興味深く思え、世界が広がる感じがした。
見知らぬ海の向こうの保険マーケットで起きていること、トピックになっていることにすごくワクワクした覚えがある。
何かそこにヒントがあるような気がする。


■規模でなく影響力で勝負する
『僕らはなぜ影響力を持ちたいと思っているかといえば、世の中をもっと豊かにしたいという思いがあるからだ」
この言葉、とても胸に響く。
会社を大きくしたい、利益を上げる、とかいう目的はどうしても手段の目的化につながり、儲かれば何でもいいということになりかねない。
会社を大きくすることを否定するものではないが、あくまで大事なことは「世の中を豊かにすること」
自分も仕事をするうえでこの思い、忘れないようにしたい。
世の中を豊かにするために、自分は何ができるのか、考え続けたい。


■本当のマトモを追求する
「売れるもの」を提供することは企業として正しいことだろうが、それだとマスを対象とした商品ばかりになってしまい、世の中に提供される商品やサービスに多様性が無くなってしまう。特に彼らの携わる不動産は顧客の価値観やライフスタイルが密接に関与するものだから、選択の幅を広げる、多様性を世の中に提供することはとても大事なことなのだと思う。
彼らのいう「豊かさ」はとてもうなづける。
自分も「豊かさ」のために何かできるようでありたいと思う。


「楽しく働くこと」
「豊かな世の中をつくること」
こうした軸を通して自分が今の仕事をよくするために何ができるか、考え続けてみたい。
2012年のはじまりに、とても素敵な本に出会った。

だから、僕らはこの働き方を選んだ 東京R不動産のフリーエージェント・スタイル

だから、僕らはこの働き方を選んだ 東京R不動産のフリーエージェント・スタイル

IDEA HACKS! 2.0 「場」への与贈を通して豊かになる

小山龍介さんと原尻淳一さんの著作「Idea Hacks!」の続編。
前作との大きな違いは「方法から場へ」という全体に通底するテーマがあること。
どちらかというとスキル重視と思われたこれまでのHacksシリーズと矛盾するようでもあるが、今回「はじめに」で著者が『持っているスキルと仕事の成功に、因果関係はない」とはっきりと宣言している。これは結構大きな驚きだった。
ここで著者が「場」と呼んでいるのは、職場だったりコミュニティだったり、あるいは広く社会だったりするのだが、場への貢献、場を豊かにすることによって、場からの報酬(幸せ)がもたらされるという相互循環的な働きがあるという。
この「場への貢献、与贈」と著者が呼ぶところの概念だが、はっと気づかされることがある。
これまで自分が所属する「場」への貢献、という視点で考えたことがあったのか?今まで自分はスキルを伸ばすことで人より少しでも抜きん出て、現状から脱却したいという視点でしか考えたことがなかったのではないか?
自分が「場」に対して何も貢献しなければ、「場」から返ってくることもない。
「場」を豊かにすることによって、結果的に自分も豊かになるという考えはとても腑に落ちるものがあった。
自分の中でもこの「場」への貢献、与贈は大きなテーマになりそうだ。

以下、気になったところについてコメントしていく。

◆プライベート・ライティング
思いついたことを人に読まれることを意識せず「手と脳を直結させて」アウトプットする手法。アウトプットの効率が劇的に上がるという。
この感想もあまり考えないで書いてみることを試しているが、続けることでアウトプットに変化が出てくるか試してみたい。


◆与贈循環
自分の持っている時間を場に「与贈」することによって、場が豊かになり、豊かになった場からまた与増される。 場が豊かになるサイクルを作るという考えだという。
この考えは、自分が最近読んできたファシリテーションについての考えと似ていると思う。
ファシリテーションはそもそも「人と人の相互作用(関係性)を促進する」働きであり、会社やコミュニティにおける「社会関係資本」、人と人との関係性を高め、より高い価値を創出することを目的にするものと理解している。
社会関係資本を増やす」=「場が豊かになる」ということだとすれば、「場」の構成員の信頼や相互理解を深め、自律性や思考・行動の質が高くなっていくことはいずれ「成長」という個人への報酬として返ってくる。
こうした理解を基にして自分の所属する会社、コミュニティに関われば、自分がそこで何をすべきなのか、感じること、考えることが変わり、自ずと行動も変わってくるように思う。

僕が今自分の会社に「与贈」できることって何だろう?

関係性を高めるイベントを企画する
飲み会の設定
オフサイトミーティング
他部門との飲み会
食事に行く
イベント
自分たちが目指す方向性、ビジョンを語り、共有するミーティングを開く
ビジョン・ミーティングを開く
自分の知識、理解を形式知化し、共有する
勉強会の開催
ニュース×勉強会
再保険保険業界ニュース
海運業界ニュース何が起こっているのか調べ、共有する
イデア会議
営業の勉強

スキーマ獲得
スキーマ」とは情報を認知する時の思考の枠組みのこと。
世の中がどのように見えるか、スキーマによって変わってくるため、より豊かなスキーマを獲得できればより適切に事象を認知し、豊かな人生を楽しむことができる。
スキーマは丸暗記できるようなものではなく、バラバラの情報が有機的につながってできた知性であり、スキーマ=アート、センスのようなもの

◆アート/センス学習法
スキーマを確認するためにアウトプット する
「自分のセンスを確認するにはアウトプットするしかない」というのは確かにそうだと思う。
下手な文章でも書いてアウトプットしない限り、他者と比較することもできないし、文章のセンスがあるかどうかも分からない。
仕事も同じことだろう。

②自分と他人のアウトプットの比較によりスキーマを増やして行く
他の優れたアウトプットを見る
自分と他人のアウトプットを比較することによってスキーマを増やして行く
フィードバックを受ける
これは確かに辛い作業だが、自分のセンスのなさ加減、スキーマの乏しさを感じることでしか、自己認識はできないし成長することはできないということだと思う。

③一度経験したら忘れないアハ!体験を繰り返す
これまで思いつきもしなかった驚くべきアウトプットに出会うこと「アハ!体験」によってスキーマが大きく変化する。そのためには経験が必要。

スキーマ獲得に有効な異文化体験
経験によってスキーマを獲得し、それが知識にとどまらない知性として働くことによって、新しい目で物事を眺めることができる。
これは自分も留学した時に身をもって経験したこと。日本人の常識は世界の常識ではない。彼我の差を感じることによって学ぶことは大きい。
例えば自分がいたサンディエゴの人々の明るさ、寛容さ、人なつこさは最初の頃どうにも馴染めなかったり理解しがたいことだったが、小さなことにこだわらない、クヨクヨしないこと、自分を理解してもらおうとするだけでなく、違いを前提に他者を理解しよう、という人生に対する姿勢を学ぶことができたと思う。
このように違いを通して自分を認識することが


◆心の中の「いいね!」ボタンを押す: 「なるほど!」を口癖にする
どんな想定外のことが起こってもそこから学べることがあるということで、起こっている事象について素直に受け容れ、そこから学ぶという姿勢のことだと思う。これにはスキーマ拡張効果があるという。
自分一人の認識や思考の枠組みには所詮限界があり、考えてもいなかったこと、自分には理解できないようなことは必ず起こる。そこから何を学ぶかによって、その後の人生の豊かさが変わってくるということだろう。

◆明るい標準レンズのカメラを持ち歩く
「カメラを始めたい」・・・というのはここ数年思ってきたが現実化せず。来年こそ実行に移し、ぜひ試してみたい。

◆二つの分野でプロフェッショナルになる
切り口を二つ持つことで、物事が立体的に見えてくるという。
自分も今まで学んだことや、学んでいることでものの見方が変わるだろうか?例えばグロービスで学んだリーダーシップやHRM。今学ぼうとしているファシリテーションコーチング。

◆外部環境とシステムの相互乗り入れの「場」を設定
「複雑な環境に対応することのできるシステムとは、それと同じだけ複雑なシステムである」
人をシステムに例えれば、複雑な環境に対応できるのはそれと同じだけ複雑な知性だという。これは本当にその通りだと思う。環境がどんどん変わる。経済のグローバル化、ICTの進展によりこれまででは考えられない勢いで社会は変化し、複雑化している。その中で人間が既存の価値観や考え方で対処できるはずもない。複雑さに対応する柔軟な知性、理解力が必要というのはその通りと思う。
「想定外」という言葉で一線を引くことはいかに世の中や物事をあるがままに見ていないか、ということの証左だと著者は言う。曇りなき目で物事を見ることができる姿勢を得るために、多様なスキーマが必要ということだと思う。

◆身体の拡張とアイデアの発芽
「ほんとうにみんなは、学問といえば、ひとが書いたもの読むことだと思っている。」
「なせ自分のオリジナルの観察を大事にしないのか。」
与えられたもの、既存のものについて評価するというような姿勢ではなく、自分が本当に興味を抱いたものについて知りたいという探究心に根付いたものこそに学習意欲が生まれ、発見があり、新しいアイデアが生まれる。
そうだとしたら、自分の興味って何だろう?

・楽しく、イキイキと仕事をできる環境ってなんだろう?
・自分が生きがいを感じながら、仕事に打ち込めるような環境はどうやったら作れるだろう?
・人に与えられるだけじゃなく、自分がこの「場」に与えることは何だろう?
・明るくて、思わず意見を会いたくなる、みんなの意見を聞きたくなるようなミーティング、会議はどうやったらできるだろう。
そうした場づくりに貢献してみたい。

◆コンテキスト思考
人々の関係性によって生まれるコンテキストは、エスノグラフィーのように中に入り込まないとよく見えてこない。個人の考え、ニーズだけでなく、社会的な背景、人間関係がコンテキストとして人の行動に影響している。
そうしたコンテキストを理解しなければ、ものごとの本当の意味は分からない。


スキーマをコンテキストとして活用
スキーマをコンテキストとして活用することによって、新しいアイデアが生まれる。

スキーマを獲得
スキーマをコンテキストとして活用
③アイデアが生まれる

多様なスキーマが重要であり、そのために、チーム全体の力を借りることも大切。
多様なスキーマ、コンテキストを持つことがアイデアを生み出す源泉になる。


◆第三レベルの傾聴
第一レベル:内的傾聴
第二レベル:集中的傾聴
第三レベル:全方位的傾聴
その場も含めて感じ取るような聞き方
相手は「受け入れてもらっている」と感じる
相手の雰囲気からもニュアンスを感じられる
イデアの別の側面に気づくことができる

これはファシリテーションコーチングにつながる考え方。相手に対して心を開き、安心感を持って話をしてもらう環境づくりをすることにより、より微妙なニュアンスや多面的な考え方、フィードバックを得られるということだと思う。

今回の著書はいわゆる「スキルアップ」本ではない。「場」という概念を一つの大きなテーマにして、それをどう豊かにするか、ひいては社会を、日本をどう豊かにしていくかも考えることのきっかけになるような、、パラダイムシフトを引き起こすような内容をもつ素晴らしい本だと思った。

IDEA HACKS!2.0

IDEA HACKS!2.0

ファシリテーター・はじめの一歩

先週参加した日本ファシリテーション協会 (FAJ) 東京支部定例会の振り返りをまとめておく。

FAJの会員になって、2回目の定例会参加だった。今回は「はじめのい〜っぽ」というタイトルで、ファシリテーター初心者が実際にファシリテーターを務め、周囲からのフィードバックを得ることで気づきを得られるような内容。東北地方の架空の街を想定し、震災で観光客が減り経済が停滞する中で、街に活気を取り戻し経済を立て直すための町おこしの企画を考える、という内容。グループごとにセッションを行い、グループ内で20分ごとにメンバーが交代でファシリテーターを務め、その度にグループの他のメンバー、そしてFAJスタッフからのフィードバックをいただく、という形式だった。以下、参加してみての気づきを記しておきたい。

◆議論の全体像の把握、ゴール設定
議論の全体像を見据えた上での進行の仕方自分にとってハードルが高かったのが、どんなふうに話し方を進めるべきか、ということだった。限られた時間の中で、自分が与えられた持ち時間の20分後のゴール地点をイメージすることが難しかった。

◆議論の進め方
難しかったのが議論を拡散させてフェイズなのか、収束されていくフェイズなのか、という見極め。アイデアが出尽くしたのか、どうか。またいろいろでたアイデアをどうやって一つにまとめていくべきなのか。自分はまとめようとするあまり少し一つの方向に導こうとしすぎていたようで、「ファシリテーターなのに意見を言いすぎ?」というフィードバックもあった。一方で「意見ではなく、議論を整理しようとしていた」という評価もいただくことができた。

◆時間配分
議論をまとめるのに精一杯で、時間配分にほとんど注意を払うことができなかった。自分の立ち位置、場の設定自分の立ち位置が、一人のメンバーにはほとんど背を向けるポジションになっていて、その人には意見を言いにくい状況を作ってしまった。ファシリテーターの立ち位置さえも議論に影響するというのは大きな気づきだった。机の配置、ホワイトボードの配置も、議論に影響する重要な要素。

◆フィードバック
いい意見を出してくれた人に、「それいいですね!」「それいただきです!」とフィードバックができたことは、フィードバッカーの方に褒めていただいた。

◆目線、ジェスチャー
うなずきや傾聴の姿勢。せっかく意見を出してもらっても、聞いてもらっていないと思われたら意見を出してもらえなくなってしまう。なかなかファシリテーターを務めながら、自分の動き、アイコンタクト、ジェスチャーにまで神経を払うのは大変だが、これも大事な要素。

ファシリテーション・グラフィック
これも巧拙で議論に影響が大きく出る要素。簡潔に本質を適切な表現で記述すること、絵や図で関係性や構造をわかりやすく示すことは(しかも、議論をすすめながら)一朝一夕にはできそうもないし、場数を踏むしかいないのだろうが、基本くらいはまずは学んでおきたい。


ファシリテーターを実際にやって見ることで、本で読んでなんとなくわかる、ということと実際にできることは全然違う、ということを体感した。ファシリテーターは思考をフル回転しつつ、自分の声と動き、場の空気、隅々にまで神経を配らなければならないとうことを身をもって経験できた。ハードルは高いが積極的に機会を見つけ経験を積むことで自分を高めていきたい。
今回は具体的なフィードバックをいただくことで、何が課題なのか、明確になったのがよかった。実際の仕事でも学んだことを応用していきたい。

「経験から学ぶ力」

「リーダーシップでいちばん大切なこと」「ご機嫌な職場」の著者である酒井穣さんがブログで紹介されていた本。
さっそく買って読んでみたが、酒井さんの本もそうだし、酒井さんの紹介される本はいつもそうなのだが、本当に考えさせられることが多い。

人は経験を通して成長する、ということについて異を唱える人はいないであろうが、この本の指摘する通り、70:20:10の法則通り、人の成長を決定づける要素として70%が経験を通してだとしたら、経験がいかに重要か、ということがよく分かる(20%は「他者の観察・アドバイス」、10%は「読書、研修」)。
限られた人生の中で、どれだけ経験するチャンスをつかみ、それを通してどれだけ学べるなが人の成長を決めるのだろう。

しかし、経験さえすれば成長する訳ではない。同じ経験を積んでも、成長する人と成長しない人がいるとしたら、人によって「経験から学ぶ力」が違うから、ということになるのは非常によく分かる話だ。

この本は「経験から学ぶ力」に焦点を当て、見事に分かりやすくフレームワーク化している。
それは本当に腹に落ちる説得力があるもので、「頑張ってるけど前に進めない、成長しているように思えない・・・」と感じる時に自分に何が足りないのか、よく分かるようなものになっている。


「経験から学ぶ力」のフレームワークは下記のようなもの。
「経験から学ぶ力」を構成する要素として次の3つを挙げている。
■ストレッチ
■リフレクション
■ エンジョイメント

そしてこの3要素を持続させる原動力として次の2要素を指摘している。
■思い
■つながり


1. ストレッチ
ストレッチは高い目標や課題に取り組む姿勢のこと。これだけだと当たり前に感じられるが、ストレッチするために「土台」を作ることの重要性を指摘している。
確かに一段高い課題に取り組むためにはそれに見合うだけの前提としての知識や理解、スキルがなければならない。下積み的な仕事は地味でつらいものも多いが、こうした仕事がより高度な仕事をするための基礎、土台になるのは事実。
自分の再保険の仕事でも一つ一つの案件をこなすのはかなり地味で味気ない作業も多いが、数多く、そして様々な種類のケースを扱うことを通して得られる「身体感覚」は確かにあると思う。こうした地道な仕事で得られる「土台作り」を軽視しないようにしたいと思う。
こうした土台作りで得られた実力が、周囲の信頼を生み、次のストレッチのチャンスを呼び込むきっかけになるというのもよく分かる。


2. リフレクション
リフレクションによって自分の経験から教訓を引き出し、学びを得ることができる。
自分のやっていることについて意識的に「振り返り」をしているかというと確かに怪しい。失敗から学べず、同じ失敗を繰り返すことも少なくない。
やはり重要なことはどんなに忙しくても、振り返りのチャンスを持つことだと思う。
これはチームとしても同様だと思う。PDCAサイクルを回す、と言いながらPDで終わってしまうことも少なくない。
リフレクションをする方法として「他者からのフィードバック」「批判にオープンになる」を挙げていることも見逃せない。フィードバックを受けたり、耳に痛い指摘を受けることは心理的にしんどいので、こうした機会を避けがちになってしまう。
しかし、本当は周りにどう思われているのか、を知らないでいることは客観的な評価と自己評価に大きな乖離を生むことになりかねない。そして大きな成長のチャンスを自らつぶすことになる。
恐れずに、人にフィードバックを求めること。
周囲の意見に謙虚に耳を傾けること。


3. エンジョイメント
仕事自体にやりがいを持ち、楽しんでやれることが大事、ということはよく分かるが、なかなかそのような境地に達することができない、というのも自分の正直な心境。
そんな未熟な自分に「エンジョイメント」の項は大きな示唆を与えてくれる。
自分の仕事に対する「意味の発見」が仕事のやりがいを高める、というのは自分がなかなか持つことのできなかった視点だと思う。
自分の仕事にも、分析力、提案力、問題解決力、交渉力、マネジメント力、いろいろな能力を鍛え、高める要素がたくさんある。こうした点をもっとポジティブに捉え、エンジョイメントの境地に達したいと思う。


4.「経験から学ぶ力」のドライバーとしての「思い」
「自分への思い」と「他者への思い」が融合したところに成長がある、というのはリーダーシップについての他の本で読んだ「自分のために生きることが人のためになる」ということと似ていると思う。
これは「志」のことなのだろう。
「他者のため」という点が自分はやはり弱いと思う。ここは自分の行動を大きく変えなければならない点だと思う。


5.「経験から学ぶ力」のドライバーとしての「つながる力」
人は他人を通してしか自分を見ることができない、というのは事実だと思う。思えば自分がこれまでの人生の中で変わってきたとすれば、それはほとんどの場合他人からの影響を受けてのことだった。
自分には真似のできないような情熱を持って物事に取り組んでいる人。
自分にはない価値観を持つ人。
自分にはない行動力を持つ人。
自分と違う人たちと会うからこそ、自分は変わりたいと思う。成長したいと思う。
そういう意味でこの「つながる力」はとても重要だと思う。
他の人に刺激を受け、切磋琢磨すること。
自分が安住できる環境ではなく、自分に危機感を持たせ、もっと高みへと到達したいと思わせてくれる人の存在は本当に重要だ。
そんな場に自分を置くこと。
そうしたつながりを自ら求めることが「つながる力」なのだと思う。



それにしても「経験から成長する力」のフレームワークは本当に秀逸だ。自分を客観視するには本当に優れたツールだと思う。
この本を読んで思うことは本当に多い。とくに「つながる力」は今の自分の現状を直視するに、とても複雑な思いになった。もう一度、歩みは遅くてもやり直したいと思う。

「経験学習」入門

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