プレイングマネジャーの教科書

田島弓子さんの新刊。
まさに「プレイングマネジャー」になったばかりの自分にとって課題図書であるかのような内容。
チームリーダーになって1ヶ月だが、いかにプレイングマネジャーが多忙であるかを実感した1ヶ月だった。
現場の仕事をしながら、マネジメントの仕事もしなければならない。スケジュールを組んだり、進捗状況を確認しながら次のアクションを考えなければならない、チームで抱えている問題を分析し、対処しなければならない、状況をチームで共有するためにこまめにミーティング・・・
これまでだったら自分には責任はないと思えた仕事はすべて僕の責任になった。
今までの成り行き任せの仕事のあり方を明確に否定し、チームとしての明確な方針、方向性を持って一貫性のある行動ができるようになるために、まず規律のない、何でもなし崩しになってしまうチームの雰囲気を変えることから始めなければならなかった。
しかし、そのような高次の仕事に取りかかろうと思っても、現実的にはこうした仕事に集中できる時間は一日の中でわずか。
「これどうしましょう」「これ確認してください」と部下からは追い回され、上司からはあれこれと次々に指示が飛んでくる。
しかも現場の仕事からも解放されない。
自分の仕事に集中できない!!と頭が爆発しそうになる時もある。

しかし、このような仕事の仕方をしていては永遠に仕事は回らず、チームとしての成果も上げられない、ということがこの本を読むとよく分かる。必要なことは、チームのメンバーにもっと仕事を任せること。メンバーが自律的に動き、自ら判断するようなチームを作ること。

プレイングマネジャーとして、まず重視すべきはチームが自律的に回っていくための「インフラ」としてのコミュニケーション。
この本はコミュニケーションに焦点を絞ってプレイングマネジャーの果たすべき役割を示してくれている。
部下が、自分で考え、自分で動くようになるために、コミュニケーションが回るプラットフォームを整備していこうと思う。

A書評(アクションプラン)
・まず、大きな声で「おはよう!」オフィスの空気を暖めるのは僕の役割。
・コミュニケーションTO DOリストをつくる 何を伝えるか、何を話すかもっと意識してスケジューリングする。
・部下のための30分をブロック
・部下のデッドラインを手帳に書く(これは忘れがち)
・「5分だけ集合〜」情報を共有し、部下のオーナーシップを高めるために有効。これは即実行。

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これからの中間管理職に必要な「最強ツール」=「ハブ型マネジャーシップ」
メンバーの様子を観察しながら個性と個性をつなぎ、部門間をこまめに行き来をしてまとめあげ、調整し、道筋をつくっていく
時には上司と部下の間に立って翻訳者のごとく両者の意見や要望を伝えていく

中間管理職の直面する問題・悩みトップ2
「業務量の負荷が大きい」
「時間的な余裕が無い」

コミュニケーションを軽視した負のサイクル
日常業務で手一杯→コミュニケーションは後回し→職場の空気が停滞する→仕事が思わぬところでストップしたり、部下とのトラブルが生じたりする→ますます業務が増える

これでは中間管理職は疲弊する一方

「成果を出すためのビジネスコミュニケーション」
日々のコミュニケーションを
・パターン化する
・習慣化する
・仕組み化する
マルチタスク化する

→部下やメンバーが自立して働く→上司や他部門にも情報が行き渡り、協力を得られる→中間管理職である、あなた自身の負担が減る→チームで成果を上げられる→余裕のできたあなたが、より大きな仕事に着手できる

コミュニケーション力を磨く:仕事力を鍛えるためのインフラ作り

人を動かして結果を出せる人間になる→サラリーマンとして一皮むけるための書かせないマイルストン

やりたくない・自信がない・やる気がない「3ない上司」ほどマネジャーの素質あり
「自信がなく、周りに気を使っている」中間管理職のマネジャー力を培う「種」

「数字を上げる」「部下の面倒を見る」
中間管理職が抱える「二重苦」を解決するにはチームで成果を上げるしかない
周りをよく見て気を配る『シマウマ型プレイングマネジャー』

コミュニケーション力は仕事上の電力や水力
業種や職種、ポジションを問わない「仕事上のインフラ」
いわゆる「人付き合いのスキル」とは異なる
プレイングマネジャーが業務目標に向かって、周囲の力を借りて結果を出すためにはビジネス上の信頼を気づくことが大切
その意味で、コミュニケーションの果たす力をマスターする必要がある

コミュニケーションの仕組み化
?すぐに使えるメソッドを繰り返して、コミュニケーションに慣れる
?有効だったコミュニケーションを仕組み化する
?コミュニケーションをタスクとして可視化し、日常業務に取り入れる

仕組み化:コミュニケーションのスケジューリング
・思いつきは×!計画的&習慣化が大事
・人に成果を出してもらうのがプレイングマネジャーの仕事
・そのためにすべきコミュニケーション行動を自分の業務として組み込む

?話しかけられ上手になる 話しかけられ上手→引き出し上手
自ら黙っていても相手から「話したい」と来てもらえるよう、そのために日頃から「いつでも話にきていいよ」という雰囲気を演出しておく
いつも余裕なく焦っていたり、目の前の自分の仕事に追われているといったそぶりは禁物

?観察力
情報収集:大切なコミュニケーションの一手段
ここぞという時に「最近どう?」と話しかけることができるように

?ハブ力
コミュニケーション力を駆使して、異なる価値観を「最適化」したものに通訳する
現場とマネジメントのハブ「コミュニケーションの通訳」
通訳の達人になればいろいろな人の相談役になれる
相談役になるとは信頼されること。ビジネスチャンスを含めたあらゆる情報が、一手に集まってくる

?根回し+場回し
ステップ1 根回し 関係部署のプレイングマネジャー間でコンセンサスをとっておく
ステップ2 突破口になる 自分が最初の突破口になる 先陣を切って自分が提案、チームで動く空気をつくる
ステップ3 情報を共有する
ステップ4 筋道を付けて場回し完了 自分が行動して筋道を付けることがポイント アプローチ方法が分かれば自然とメンバーが動き始める

●5秒でできる即効フレーズ
モチベーションアップのコミュニケーション
業務の円滑化を目指すコミュニケーション
情報の流通を促すコミュニケーション

「おはよう!」 あいさつは、部下からではなく上司から
「おはよう!」とあいさつしてオフィス内の雰囲気を活性化させる
コミュニケーションがスムーズにいくよう朝からチームの空気を暖めるのは上司の仕事

「最近どう?」 部下に「いつでも話しにきてくれていいよ」という空気をつくる
何気ない一瞬を逃さず「最近どう?」と投げかけることを心がけていると、「いつでも気にかけているし、いつでも話をしにきてくれていいのだ」という空気を醸成できる。
自分の仕事で忙しい上司ほど「話しかけられ上手」になるべき

「今はダメだけど、○時からなら5分取れるよ」 手が離せない時でも、「話を聞く用意はある」と伝える
自分の仕事と同時並行で部下の面倒を見ることの困難性
いかに両方の仕事のバランスよく織り交ぜるか、もう一つの仕事をどうフォローするかを考える「マルチタスク脳」をプレイングマネジャーは鍛えなければならない
今手が離せなくても代替案を具体的に提示
部下は「話を聞く用意がある」というサインを受け取り、安心する

「良い話?悪い話?」
ストレートに、いつもの口調でカラッと聞いてしまうことで、「ああ、悪い話をしてもいいんだな」と部下は若干プレッシャーから解放され、ありのままに状況を報告できる精神状態になる。

「お客さまのことを一番知っているのは、あなただからね」 部下に「自分が主役」だという自覚を持たせる
やる気と主体性を引き出すフレーズ

「ごめん、ちょっと5分だけ集合〜」 情報の垂れ流しで、部下との信頼関係も深まる
部下に任せる仕事を増やすために「情報は垂れ流す」

仕事に当事者意識が高まることで、結果として部下が成長し、任せる仕事を増やせることにもつながる

●コミュニケーションの仕組み化
?コミュニケーションTO DOリストをつくる
・手帳の中で、コミュニケーションタスク型のタスクと同列の扱いになることで、自然とコミュニケーションが日々の業務に取り入れられるようになる
・コミュニケーションを仕組み化することで、人間関係のストレスというもやもやを、タスク処理できるようになる(ストレスの軽減)
苦手意識のある人との接点は、意識的に心がけていかない限り、接点がどんどん希薄になってしまう
−進捗確認
−声掛けをする
−報告する
−つかまえる・・・

?「部下のための30分」もスケジューリングする
部下との時間をあらかじめ仕組み化してブロックする→見も心も100%部下と向き合う時間を確保

?部下のデッドラインも手帳に書く
待つことも仕事のうち
デッドラインにバッファをとって、本当のデッドラインの日より2−3日早い期日でデッドラインを伝えリスクヘッジ
他人に課したデッドラインも手帳に書く

どんなに忙しくても「話しかけないでオーラ」だけは出さない
どんなに忙しい時でも、その瞬間は相手の目を見て「どうした?」と100%で受け止める

・コミュニケーションの場は会議室だけではない
・コーヒーメーカー前 雑談
・エレベーター 軽く進捗状況をシェア
・廊下
・ランチ 特に話はないけれど、話しやすい関係を作りたいとき

●問題解決コミュニケーション
「伝書バト」部下を育てるのは「解きほぐし」コミュニケーション
「チャンクダウン」(魂を崩す)
質疑応答により根気よく自分で考えさせる
時間がかるころにイライラしない
部下の気づきをアクションにつなげる

プライドの剣には、ロジックの盾で返す
・自分をできると思っている部下は、基本的に自分から確認したり相談してこない。
・上司のホから折に触れて指示確認のコミュニケーションをすることが必要
・この際、口頭だけではなく紙に残す、リマインドメールを送るといったログを残す 言った、言わないの争いを避けるため

年上の部下とうまくやる「マイルドな理詰め」
・年上の部下には年下と同じように接するべきではない
・ベースは相手主導で
・ただし、関係がなあなあにならないようコミュニケーションはロジカルに
・仕事の進め方は任せ、デッドラインと数値目標にフォーカスして管理する(ディスカッションのポイントは客観的指標をベースに)

やりにくい相手には「不甲斐ないほど」下手に出る
相手のリアクションを引き出せて初めてコミュニケーションの正否が測られる
自分にとっては「不甲斐ない」でも、相手にとってはちょうどいいこともある
コミュニケーションは自分の言いたいことを伝えるためのツールではなくあくまで仕事の目標達成のためのツールである