「リーダーシップなしには生きられない時代」とは

酒井穣 著「リーダーシップでいちばん大切なこと」からの気づきについてさらに書いてみる。
この本が数あるリーダーシップについて書かれた本の中で少し毛色が違っているのは、「人生をよりよく、豊かに生きる」ためにはリーダーシップは欠かせない、そうでなければこの変化する世界の中で自分の理想に従って生きることはできない、という文脈で書かれていることだと思う。

つまり、会社のために、組織のために、ということではなく、一人の人間としてよりよく自分の人生を生きたい、充実させたいと思うならばリーダーシップなしではできない、ということを言っている。

これはちょっと衝撃的、というか、大きな危機感を覚える。

第2章のタイトルからして「リーダーシップなしには生きられない時代」とされている。
これはどういう意味なのか?

著者は主張する。
マジョリティに属して同調して生きている限り、競争社会では自分を差別化することは容易なことではない
グローバル経済が急速に進行する中で、マジョリティの仕事は化以外へのアウトソーシングが進行する(多くの人が担うことができる、平均的な仕事、スキルは世界的により低い賃金の国にアウトソースされて行く。

労働のあり方は二極化していく。
①より付加価値の高いスキルを獲得する道
②キャリアの競争から降りる(スロー・ライフ)


そして、最後には「同一スキル・同一賃金」が徹底され、海外へのアウトソーシングという概念がなくなる。

つまり、自分がリーダーシップをとってニッチ分野で他の誰も提供していない価値を出さない限り、自立して生きることは困難になる、という状況になる。

「リーダーシップを獲得するか、それとも死ぬか」という表現は大げさかもしれないが、自分が自分の価値観に従ってリーダーシップを持って自分独自の価値を社会に提供しなければ、ただ使われるだけ、取り替えの効く人材になってしまう、ということだと思う。そしてそこでキャリアを通した自己実現など非常に困難になって行くのだろう。

これは本当に怖いことだが、現実感がある。
日常の仕事の多くはいまやコンピューターが代替し、誰でもできるような仕事になってきている。
誰かの指示や命令で職務をこなしている限りはそれ以上の価値は提供できないし、常に他の誰かに簡単に代替されるリスクと隣り合わせであり、また賃金も伸びない。

難しいのは自分がどんな価値を出せるか、自分が好きで、何があってもそこに向かって頑張れる、その結果誰も同じようなことができないような領域を見つけることができるかである。

正直、自分に何ができるのか、何をしたいのかよくわからない。

MBAを目指そうと思ったのはどうしてだったっけ?

僕はきちんとした知識やセオリーに則ってまともな経営・マネジメントができるようになりたいと思った。
自分がマネジメントをするなら、しっかりとビジョンを示して、環境の変化をきちんと把握して適切な戦略を打ち出し、部下としっかりビジョンや戦略を共有してマネジメントする、経営する・・・当たり前のことがなかなか当たり前にできないからこそ、僕は自分がもしマネジメントのポジションにつくなら、当たり前のことくらいはできるようになりたいと思ったことがMBAを取りたいと思ったきっかけだった。

でもそれだけでは、やっぱり足りない。
僕が自分自身にリーダーシップを発揮するためには、何が必要なんだろう。
僕が本当に人生をかけてまで実現したい理想。

もっと皆が信頼し合って、笑顔で仕事ができる会社。
もっと皆が理想を語り合い、それに向かって協力し合うことができる会社。

そんな会社の環境を実現したい、とそういえば去年くらいは思っていた。

抽象的だが、チームリーダーになってそれを考え続け、いろんなことを試そうという気概はあった。

ずいぶん最近はトーンダウンしているような気がする。
すっかり仕事の忙しさに追い立てられ、視野も狭くなっているようだ。

働く人が、もっと幸せであってほしい、というのは本当にそう思う。
多くの人がストレスをためながら仕事をしているのは、拙劣なマネジメントやコミュニケーション不全に多くの原因があるという思いがある。
だからこそ、リーダーシップや、ファシリテーションコーチングに興味を持った・・・
少し、自分が目指そうとした方向を思い出せたかもしれない。

この本のおかげだろう。

そして、考えること=言語化であるとやはりこの本に書いてあったことが、ブログを書いていて腑に落ちた。
曖昧な思考を具体的なものにするには言葉にすることが必要なのだ。

リーダーシップでいちばん大切なこと

リーダーシップでいちばん大切なこと