ポジティブ心理学
金井壽宏 編・著「人勢塾 ポジティブ心理学が人と組織を変える」を読んでいる。
「リーダーシップの旅」「リーダーシップ入門」を書かれた金井教授の本である。
「ポジティブ心理学」という言葉に心惹かれ、買ってみた。
コーチングに関する本を何冊か読んでみて、自分の考え方、認識、というものは(パーソナルOS)所与のものであって変えられないのではなく、意識することによって、学習することによって変えることができるのではないか、という問題意識を持ったことと、部門のリーダーとして組織で影響力を発揮するために、自分の人生への向き合い方、会社や仕事への向き合い方・リーダーシップ行動を変るために、何より基本的な態度として「ポジティブであること」が必要なのではないか、と思い、読んでみた。
「ポジティブ心理学」とは耳慣れない言葉だが、金井教授は職場風土や組織文化の改善に役に立つものと考え、これを現場のHRシステム、リーダー育成に応用しようと考えているようだ。
興味深かったのは、「自分は無力ではない」ということを学習することができる、という基本的な「ポジティブ心理学」の考え方だ。
よくあることだが、仕事で難題に直面したり、チャレンジしても思ったように行かなかったとき、「やっぱりダメだった」、
「所詮自分にはできない」とついつい無力感を学習してしまい、それ以降挑戦もできなくなってしまう。
しかし、違う方向に考えることもできる。
無力感を学習するのと同様に、楽観性を学ぶことができる、いうのがポジティブ心理学の立場で、これを「学習性楽観性」というらしい。
自分に引き寄せて考えると、こういうことだと思う。
僕はチームのあり方を変えたい、何とか一人一人がもっと主体性を持って自分の役割を考え、そのために何ができるか考え、みずから行動を起こすチームにしたい、と思っているが、なかなか、具体的に何をしたらいいのか、何をやったら周囲に響き、周囲の考え方や行動が変わるのか、わからない。
いろんな話をしたり、ミーティングをしたりして働きかけをしたけれど、結局チームの行動の変容に結びつけることはできず、あまり変わらない。
僕は無力なのか。何をやっても無駄、かという思いにとらわれていた。
ポジティブ心理学では、
「何か問題があったとしても、それは何か自分に悪いところがあっておきるのではなく、自分自身が、自分のいいところを働かせれば克服できるような問題なのかもしれない」と考える。
「人間は、外的な影響を受動的に受けるだけの、傷つきやすい存在ではなくて、むしろ、いきいきとした人生を、自分の力で築いていくことを目指して、実際に自分から働きかける、能動的な働きを持っている存在」として扱われる。
つまり、自分がまったく能力がないために何をやってもムダ、ということではなく、自分の強みをいかしてできることがあるかもしれない、
現状に一方的に翻弄される無力な存在なのではなく、自分が主体性を持って周囲に働きかけることによって、影響力を与えることができるかもしれない、ということなのだと思う。
考えうることをすべてやり尽くしてしまったわけではない。
何ができるか考え続けることによって何かできることが見つかるかもしれない。
今、できないでいることも自分に能力がないのではなく、やり方を知らないだけかもしれない。
小さなことでも、周囲に働きかけ、空気を少しでも変えることはできるはず。
目標を持つ文化がなかったこと、ビジョンがなかったことがもし問題だとするならば、ならば目標を持ってみよう。
目標を作ろう。
ビジョンも作ってみよう。
僕がたどり着きたい未来を描いてみよう。
お客さんのために何ができるか、考えよう。
自分の信じることを言葉にして、自分の言葉で伝える努力をしてみよう。
◇受身ではなく、常にお客さんに対して提案したり、働きかけることができるようになる。
◇スピードやリスポンスのよさをいつも実現できる。
◇いつも丁寧に、きめ細かい、丁寧な仕事をする。
◇煩雑で手間がかかる事務処理を、効率的に処理できる。そのためのソリューションを考えることができる。
◇お客さんの問題を親身になって聴き、即応することができる。
◇マーケットの動きを、分かりやすく、ビジュアルに説明できる。
もっと本質を簡潔に示せる言葉はないか??ビジョンに相応しい言葉は。
そして僕が自分の職場に求めることは、
◇明るく、前向きな言葉が交わされ、生産的な雰囲気に満ちている。
僕自身がそれを示し、常に体現しなければならない。
自分の立場、役割を自覚できるように。
- 作者: 金井壽宏
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/04/05
- メディア: 単行本
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