自分の心のグローバル化と向き合う-Samoan Circleの効果

日本ファシリテーション協会東京支部の定例会に参加した。
今回のお題は「グローバルな生き方ってなんだろう?」。一応海外とやり取りする仕事をしていながら、自分のグローバル度について考えるとお寒い状況で、マインドセットもいまなお殻を破れないまま。
ファシリテーションで「グローバルな生き方を考える」ってどういうことなんだろう?今の自分の心に響くものはあるのだろうか ?ワクワク半分、自分の現実に直面することの不安が半分、という気持ちで参加した。

参加してみて、大きな気づきが得られたと思う。
今回の定例会はFAJの中のプロジェクト・GFIT(Global Facilitation Initiative Team)の方々が企画されたものということ。このプロジェクトは海外に発信したり、海外のファシリテーション団体とやり取りや会合への参加をされているようだ。
ファシリテーションの国際団体(らしい)IAFのイベントが昨年インドで開催され、日本からはGFITの皆さんが参加したとのことで、報告をいただいた。
2009年当時、IAFのアジア支部の大会を日本で開催してほしい、とオファーを受けながら、Yesと言えなかった当時、その一方で国内のファシリテーション協会が未成熟にもかかわらず、迷いもなくYesと応え、1年間の準備期間で実際に大会を成功させた韓国との落差についてのお話もいただいた。これはグローバル・マインドの問題なのか、気概の問題なのか・・・原因が何であれ、隣の国に先を越された何とも言えない敗北感・・・この話しはとても心に響いた。
グローバル化ということは感じながら、自分は確実に変化する社会、世界の中で何をしているのだろう、行動を変える努力などできているのだろうか?と思うと甚だ心許なくなる。
自分の心の中のグローバル化と向き合う一日となった。

いろいろなアクティビティを行ったが、そのなかで、特に印象に残ったのが、このセッションのメインディッシュ:インドで行われたIAFのアジア支部の大会で実践されていたという「サモアン・サークル」(Samoan Circle)というメソッドだ。

http://www.kstoolkit.org/Samoan+Circle

・対立する議題について、対立軸を設定し、それぞれの支持する立場に分かれ、立場を代表する人が一人ずつ出て、実際にディベートする。
・その他の人は、ディベートする人たちを取り囲んでサークルを作る。
・外のサークルにいる人たちは発言することができないが、話したい時はサークルの中に入ってディベートしている人といつでも交代し、ディベートに参加することができる。
・参加者は途中でいつでもその立場を変えてかまわない。

今回はグローバル化にあたって大切なのは心(マインドセットの変革)、技(語学力の向上)、体(国際交流促進、アクション)の3つのうちどれが大切か、というテーマでそれぞれの立場に分かれ、サモアン・サークルを実践した。

これのどこが面白いか、というと、外のサークルにいると議論を客観視できることだ。
ディベートをしているとつい熱くなって自分の立場に固執してしまいがちだし、ときには自分を守り、正当化するためのロジックを無理矢理作ってしまいがちだが、外のサークルにいると自分の立場にこだわらず、他の立場の意見も聞くことができ、素直にもっともだなと、立場を異にする人の意見に耳をすますことができる。
視野が広がり、違う角度から問題を見ることができ、自分が見逃していた視点に気づくことができる。
自由に立場、位置を変えることができることから、対立する立場である「向こう側」に実際に異動してディスカッションを聞くことができる。この「位置を変える」というのが自分の態度にも大きく影響することがよく分かる。

僕は大切なのは絶対に「心」だろう、と思っていた。それがこのアクティビティに参加しているうちに自然に「体」も大事だろ、と思うようになり、立場を移動。自分に足りないのはまさに「体」、アクションかなと思えるようになった。アクションを起こすことが心を鍛え、心を育てる、技にも磨きをかけるきっかけになる、ということがある。

自分が何にこだわっているのかがよく分かり、素直になり自分の心にも変容が起こる。何ともパワフルで効果的なアクティビティだと思った。

懇親会でもいろいろな方とお話ができた。この瞬間がとても大好きだ。普段の仕事では会えない方と話すことができ、視野が広がる。ファシリテーションに対する問題意識を共有できる。

何だかんだアタマばかりで考える割には行動が足りない自分と向き合い、なにか実際に行動に移してみよう、と思える自分がいた。
GFITの活動も、もし何か自分にできることがあれば関わってみようか、と思った。

自分の心の中のグローバル化に素直に向き合い、新たな心構えを築くきっかけになる素晴らしい機会になった。GFITの皆さん、参加者の皆さん、ありがとうございました!!