ファシリテーター・はじめの一歩

先週参加した日本ファシリテーション協会 (FAJ) 東京支部定例会の振り返りをまとめておく。

FAJの会員になって、2回目の定例会参加だった。今回は「はじめのい〜っぽ」というタイトルで、ファシリテーター初心者が実際にファシリテーターを務め、周囲からのフィードバックを得ることで気づきを得られるような内容。東北地方の架空の街を想定し、震災で観光客が減り経済が停滞する中で、街に活気を取り戻し経済を立て直すための町おこしの企画を考える、という内容。グループごとにセッションを行い、グループ内で20分ごとにメンバーが交代でファシリテーターを務め、その度にグループの他のメンバー、そしてFAJスタッフからのフィードバックをいただく、という形式だった。以下、参加してみての気づきを記しておきたい。

◆議論の全体像の把握、ゴール設定
議論の全体像を見据えた上での進行の仕方自分にとってハードルが高かったのが、どんなふうに話し方を進めるべきか、ということだった。限られた時間の中で、自分が与えられた持ち時間の20分後のゴール地点をイメージすることが難しかった。

◆議論の進め方
難しかったのが議論を拡散させてフェイズなのか、収束されていくフェイズなのか、という見極め。アイデアが出尽くしたのか、どうか。またいろいろでたアイデアをどうやって一つにまとめていくべきなのか。自分はまとめようとするあまり少し一つの方向に導こうとしすぎていたようで、「ファシリテーターなのに意見を言いすぎ?」というフィードバックもあった。一方で「意見ではなく、議論を整理しようとしていた」という評価もいただくことができた。

◆時間配分
議論をまとめるのに精一杯で、時間配分にほとんど注意を払うことができなかった。自分の立ち位置、場の設定自分の立ち位置が、一人のメンバーにはほとんど背を向けるポジションになっていて、その人には意見を言いにくい状況を作ってしまった。ファシリテーターの立ち位置さえも議論に影響するというのは大きな気づきだった。机の配置、ホワイトボードの配置も、議論に影響する重要な要素。

◆フィードバック
いい意見を出してくれた人に、「それいいですね!」「それいただきです!」とフィードバックができたことは、フィードバッカーの方に褒めていただいた。

◆目線、ジェスチャー
うなずきや傾聴の姿勢。せっかく意見を出してもらっても、聞いてもらっていないと思われたら意見を出してもらえなくなってしまう。なかなかファシリテーターを務めながら、自分の動き、アイコンタクト、ジェスチャーにまで神経を払うのは大変だが、これも大事な要素。

ファシリテーション・グラフィック
これも巧拙で議論に影響が大きく出る要素。簡潔に本質を適切な表現で記述すること、絵や図で関係性や構造をわかりやすく示すことは(しかも、議論をすすめながら)一朝一夕にはできそうもないし、場数を踏むしかいないのだろうが、基本くらいはまずは学んでおきたい。


ファシリテーターを実際にやって見ることで、本で読んでなんとなくわかる、ということと実際にできることは全然違う、ということを体感した。ファシリテーターは思考をフル回転しつつ、自分の声と動き、場の空気、隅々にまで神経を配らなければならないとうことを身をもって経験できた。ハードルは高いが積極的に機会を見つけ経験を積むことで自分を高めていきたい。
今回は具体的なフィードバックをいただくことで、何が課題なのか、明確になったのがよかった。実際の仕事でも学んだことを応用していきたい。