パーソナルOSという概念
伊藤守著「コーチングマネジメント」を読む。
とりわけ印象に残ったのが「パーソナルOS」という概念だ。
新しい考え方を取り入れようとしても、「パーソナルOS」が従来のままで変わらなければ(バージョンアップできなければ)行動に移せない(インストールできない)、というのだ。コーチングも「パーソナルOS」がバージョンアップしなければ機能しない。
この「パーソナルOS」とはなんだろう。
価値観やものの見方、認識のしかた、考え方がそれにあたる。
そしてそのパーソナルOSの一部を規定するのが「バイオリアクション」、というもののようだ。
人と相対したときに働く反応的、本能的な心と体の働き。「ストレス反応」ともいう。
今までの行いや振る舞いを振り返ると思い当たる節がある。
自分の考えと対立する人には、自分の考えと違う、というだけで少なからず感情的に反応してしまったりする。自分の領域を侵されそうになったとき、防衛的な反応をとってしまうこともある。
何かを頼まれたとき、仕事が立て込んだ時、損得感情が働いてしまう。
正しい、間違いという二局的な判断基準で対応してしまう→白黒つけようとしてしまう。
こうした反応をしてしまうことは相手とのコミュニケーションを阻害し、より深い話し合いや相互理解のチャンスをみすみす逃す結果につながるかもしれない。
よりよい関係を構築しようとしているはずなのに、その場の感情や防衛的な反応に支配されてしまうことによって、人間関係や信頼を構築するための基盤を壊してしまうかもしれないのだ。
これは人間に本能的にプログラムされた反応であり、程度の違いはあれど人間はその影響から逃れられない。しかし、人間ははそれをコントロールすることができるという。
人は、自分の感情を客観視して自分の反応=行動を選ぶことができる。
ある感情が沸き起ったとしても、その感情に思考を支配されて行動するのではなく、コントロールすることでよりよい思考、行動を選ぶことができる。
自分がどんな時に高ストレスにされされ、バイオリアクションを起こしがちであるか考えてみる。
・仕事が忙しいのに、さらに追い討ちをかけるようにあまり重要でもない仕事を依頼されるとき。(相手に自分の状況を想像してくれ、というのは酷かもしれない。)
・会話の中で自分の期待した回答が返ってこないとき(自分の説明や伝え方が悪いのかもしれない)。
・自分の気持ちに共感的な態度を取ってもらえないとき(人間誰しも自分がかわいいもので、自分は割り引いて考える「自分は悪くない、悪いのは回り、と考えがち。他人にも同じように思ってもらえるとは限らない)。
・相手の意見を理解できないとき(どうして相手はそのようなことを言っているのか?自分が気づいていない、把握していない要素や理由があるのではないか?)
ちょっと考えてみただけで自分がバイオリアクションを起こしがちなシチュエーションが思い当たる。
自分の思いや感情に没入するのではなく、ちょっと立場を引いて自分やっていることや感じていることを客観視できるようになれば、バイオリアクションから自由になりもっとよりよい行動ができるようになるかもしれない。
周囲とも、もっと深く理解しあい、よりよい関係性を構築できるかもしれない。
コーチング・マネジメント―人と組織のハイパフォーマンスをつくる
- 作者: 伊藤守
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2002/07/24
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 56回
- この商品を含むブログ (42件) を見る